薬物の濃度と作用を生体内の局所でリアルタイム計測する新技術

DOI

Abstract

<p>薬物は体に投与されると、各臓器で時空間的に不均一に増減する。それに伴い、薬物標的となる細胞集団の活動も変化していく。これらの局所の薬物の動態と作用の推移は、薬効や毒性の発現に深く関わるはずだが、その計測は従来法では困難である。本研究では、新たな薬物モニタリングシステムを開発した。この系は、最先端の「導電性ダイヤモンド」を加工した針状の薬物センサと、細胞の電気現象を捉えるガラス微小電極センサを搭載する。まず、ブメタニドを試した。この利尿薬は、内耳の電位環境を破綻し、難聴を誘引する。2本のセンサを同時に内耳へ挿入した。ブメタニドを動物に静注すると、迅速なブメタニドの濃度上昇と、それに少し遅延して内耳電位の降下が観察された。次に、センサを脳に配置し、抗てんかん薬ラモトリギンを試した。薬を投与すると、その濃度は緩徐に上昇した。神経活動を示す細胞外電位は、薬物濃度の上昇開始とともに強く抑制された。抗がん剤ドキソルビシンも、生体内でモニタリング可能であった。本研究で創出した技術は、多彩な薬物や臓器に適用可能であり、副作用を抑えて効果を最大にする薬物投与法や、安心・安全な創薬を発展させる。</p>

Journal

Related Projects

See more

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390846609789139968
  • NII Article ID
    130007776739
  • DOI
    10.11239/jsmbe.annual57.s222_2
  • ISSN
    18814379
    1347443X
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • Abstract License Flag
    Disallowed

Report a problem

Back to top