統合失調症における神経発達機能関連遺伝子のrare variant解析

  • 木村 大樹
    名古屋大学大学院医学系研究科精神医学分野
  • 尾崎 紀夫
    名古屋大学大学院医学系研究科精神医学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Lessons from the sequencing study of genes for neurodevelopment in Schizophrenia
  • トウゴウ シッチョウショウ ニ オケル シンケイ ハッタツ キノウ カンレン イデンシ ノ rare variant カイセキ

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抄録

統合失調症の発症に強い影響力を持つまれなゲノム変異として,コピー数多型(CNV)が挙げられるが,CNVを起点として如何なるメカニズムによって統合失調症の発症に至るのかは不明である。筆者は日本人統合失調症の全ゲノムCNV解析から発症に強い影響力を持つと判明したCNV領域内の神経発達関連遺伝子を対象としたシークエンス解析を実施し,統合失調症の発症に強い影響力を持つ一塩基変異(SNV)の探索と,同定したSNVに基づく分子病態解明研究を行った。その結果,22q11.2領域内に存在するアミノ酸置換RTN4R‐R292Hや,16p13.11領域内に存在するNDE1‐S214Fが統合失調症と有意な関連を示すことが示唆された。さらに,これらのSNVによって,神経細胞の発達異常が引き起こされることも証明された。今後は,多発家系例などを対象とした全ゲノムシークエンス解析による新たな発症ゲノム変異の同定や,変異を模したモデル動物や変異を有する患者由来のiPS細胞を対象とした解析により,統合失調症の病態解明や,病態に基づく診断法・治療薬開発につなげていきたい。

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