腹圧性尿失禁の新たな中枢標的

  • 宮里 実
    琉球大学 大学院医学研究科 システム生理学講座 琉球大学 大学院医学研究科 腎泌尿器外科学講座
  • 芦刈 明日香
    琉球大学 大学院医学研究科 腎泌尿器外科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Therapeutic new targets for stress urinary incontinence in the central nervous system
  • フクアツセイ ニョウ シッキン ノ アラタ ナ チュウスウ ヒョウテキ

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抄録

<p>腹圧性尿失禁(SUI)は,中年女性にみられる一般的疾患で,生活の質を著しく損なう.一方で,臨床的に,あまり有効な薬剤はない.妊娠,出産に伴う女性特有の成因に起因し,尿道過可動と内因性括約筋不全の二つに大別される.腹圧尿失禁の病態,創薬開発にあたって,直接的,間接的陰部神経損傷モデルが使用されている.私達は以前,脳梗塞ラットも尿禁制反射が減弱していることを報告した.SUI評価法として,リークポイント圧測定や尿道マイクロチップ法があり,私たちは後者にくしゃみ刺激を利用する独自の評価方法を確立した.実際,中枢にはSUIの標的が数多く存在することが明らかとなってきている.特に,ノルエピネフリン,セロトニン(5-HT)が標的で,陰部神経核(オヌフ核)周囲に存在するα1受容体,5-HT2C,5-HT7が尿禁制反射を増強,α2,5-HT1Aが減弱することが明らかとなっている.さらに,脊髄オピオイドμ受容体が尿禁制反射を増強することを,弱オピオイドであるトラマドールを用いて報告した.このように,脊髄にはSUIの新たな創薬開発の標的となる受容体が数多く存在する.</p>

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