地域で求められる理学療法士の視点 ~笑いで広げる介護予防のまちづくり~

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  • 齊藤 道子
    玉村町健康福祉課 高齢政策係 地域包括支援センター

抄録

<p> 我が国では少子高齢化が進み、介護人材不足、社会保障費増加の問題が深刻となる中、各市町村は地域包括ケアシステム構築にむけて住民主体の通いの場の拡充、住民同士が支え合える地域づくりに力を入れている。</p><p> そのような中、玉村町では、理学療法士が地域包括支援センターに配置され、介護予防事業、認知症総合支援事業、生活支援体制整備事業(協議体=地域づくりを協議する場)を担当し、地域ケア会議ではコーディネーターを務めている。現在、様々な政策に関わる中で、理学療法士としての視点が生かされ、その役割も広がりつつあると感じている。今回は、町職員として日々行っている地域での活動や、期待されている役割、最近感じている事について報告させて頂きたい。</p><p><玉村町で実際に理学療法士が活動している事業と役割></p><p>1.介護予防事業</p><p> ①健康教室(はつらつ健康教室等)の企画、予算管理、運営、運動や脳トレを指</p><p>  導</p><p> ②住民主体の通いの場(居場所・筋力トレーニング等)への介入、健康講座の実</p><p>  施</p><p> ③住民サポーターの養成(健康サポーター養成講座の企画、予算管理、</p><p>  運営、指導)</p><p> ④介護予防イベント(体力測定会、筋トレまつり等)の企画、予算管理、運営、</p><p>  実施</p><p> ⑤大学との連携事業の企画、予算管理、運営、実施(居場所に対する効果検証事</p><p>  業等)</p><p>2.認知症総合支援事業</p><p> ①認知症初期集中支援チームのチーム員として、自宅訪問、相談、チーム員会議</p><p>  の開催</p><p> ②認知症地域支援推進員として認知症カフェ立ち上げ、認知症サポーター養成講</p><p>  座講師</p><p>3.生活支援体制整備事業(協議体)</p><p>  ・第1層協議体の構成委員として、地域住民や各種団体とまちづくりについて</p><p>   協議</p><p>4.地域ケア会議事業(自立支援型地域ケア個別会議)</p><p>  ・ 地域ケア会議のコーディネーターとして、事例を評価分析し、課題解決に向</p><p>   けて自立支援の視点より多職種が連携できるよう調整</p><p>5.その他</p><p> ①困難事例の自宅を訪問、本人の心身状態や生活能力、住宅環境等を評価し対応</p><p> ②生活困窮者のごみ屋敷の掃除(毎回ではない)</p><p> 以上、このような活動を日々行う中で、特に感じることは、病院での勤務では個人を評価することが多いが、地域では個人だけでなく様々な地域の現状や課題を評価し、それをどう改善に導くかを専門職だけでなく、地域住民と協働し検討を重ねることが多いということだ。</p><p> また地域住民から理解を得るのに非常に苦労した経験より、最終的には住民との信頼関係や、伝え方が重要であると理解している。よって最近では状況に応じて、自ら寸劇や漫才を行い、わかりやすく、笑いをとりつつ理解を促すこともある。</p><p> 今後理学療法士をはじめリハビリテーション専門職には、介護予防や自立支援の視点からの提案が、個人に対してだけでなく地域づくりに対しても期待されてくると思われる。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390565134813928576
  • NII論文ID
    130007779447
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_0007
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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