私たちは何ができるのでしょうか? ~『地域』を『リハビリテーション』するために~
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- 田中 康之
- 千葉県千葉リハビリテーションセンター 地域リハ推進部
抄録
<p> 筆者は、今回のテーマである「介護予防の街づくり」の最大の成果は「その街に暮らし続けたいと思う人が増え、且つ暮らし続けられる人が増えること」であると考えている。そして、そのためにはその人がその街で居心地が良いと思え、究極には自らの存在価値が見出せることが必要であると考えている。</p><p> その街での「居心地の良さ」には、その人に適する物理的・人的・法制度等の環境が整い、その環境の中でその人が持てる能力を活用できることが条件の一つであろう。この環境が整うためには、「その人」自身すなわち住民一人一人や自治会などの住民組織、住民に関わる保健・医療・福祉の専門職、その地域にある企業、学校、行政など、そのコミュニティを構成するまたは関わる全ての人や組織が当事者として取り組む必要がある。そして「その人が持てる能力を活用できる」ためには、「その人」自身の努力だけではなく、潜在的な力を見出す・引き出すための支援も必要であろう。</p><p> 一方で、「その人」は画一的な存在ではない。介護予防で対象とする高齢者をステレオタイプに考えることは不適切である。したがって、その土地・土地で取り組み方や達成すべき目標が異なるのが自然であり、それはコミュニティをそのコミュニティに適した状態にしていく取り組みでもあると言えよう。</p><p> 上述のようなコミュニティに関わる全ての人や組織が、当事者としてコミュニティをそのコミュニティに適した状態にしていく活動、一言でいえば「コミュニティの自助力」の向上が「その人」の「居心地の良さ」につながるものであり、それは「地域」を「リハビリテーション」する活動ではないかと筆者は考えている。</p><p> さて、そのコミュニティの中の「その人」、そして「コミュニティの自助力の向上」に対して理学療法士はどのような働きかけ方ができるのか。このことについて本講演では「理学療法士『しか』できないこと」、「理学療法士『なら』より良くできること」、「理学療法士『でも』できること」の視点から、参加された方々が自ら考えるための素材提供をしたい。</p>
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 38 (0), 0006-, 2020
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390283659837349120
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- NII論文ID
- 130007779472
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可