地域在住高齢者における1年間の疼痛の変化と運動機能との関連性

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抄録

<p>【目的】疼痛は、高齢者における有訴率の上位を占め、歩行能力やADLの低下をきたす要因の一つである.そこで、本研究では1年間の追跡調査を行い、疼痛強度の変化が運動機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.</p><p>【方法】1年間の追跡調査が可能であった地域在住高齢者109名のうち、Baseline時もしくは1年後に疼痛を有した地域在住高齢82名(平均年齢71.0歳,男性15名,女性67名)を対象に、疼痛部位,疼痛継続期間,疼痛の主観的強度(Numerical Rating Scale),疼痛の生活への支障の有無、運動習慣を調査した.また身長,体重, 5m最速歩行時間,5m快適歩行時間,Chair Stand test(CST),Timed Up and Go test(TUG)を測定した.疼痛強度の変化に関与する要因の検討には、疼痛強度の変化量を従属変数に、目的変数を年齢およびCST,TUG,快適歩行時間,最速歩行時間の各変化量とする重回帰分析を用いた.有意水準は5%とした.なお,本研究は北里大学医療衛生学部研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:2016-G021B).</p><p>【結果】疼痛の主観的強度は、Baseline時は中央値3.0(範囲0-9)、1年後は中央値3.5(範囲0-9.5)であった.生活への支障に関しては,「支障なし」の回答が56%を占めた.運動習慣のある者の割合はBaseline時、1年後ともに約 80 %であった.疼痛強度の変化は、快適歩行時間の変化のみ正の関連性を示し、(p<0.05,回帰係数2.2、自由度調整済み決定係数=0.08)、他の項目は関連がなかった.</p><p>【結論】疼痛強度が増加すると歩行時間が延長する傾向が認められたが、その影響は少ないことが示された.今回の対象者は、疼痛は有するものの生活に支障ない者が多く、運動機能への影響が少なかったと考えられた.</p>

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  • CRID
    1390565134813812736
  • NII論文ID
    130007779555
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_o-046
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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