輪状潰瘍を呈した好酸球性胃腸炎の一例

DOI
  • 松本 侑士
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 灘谷 祐二
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 渡辺 俊雄
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 小阪 聡
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 中田 晃暢
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 大谷 恒史
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 谷川 徹也
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 藤原 靖弘
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学

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抄録

<p>【症例】 80歳代、男性</p><p>【既往歴】 気管支喘息、直腸癌</p><p>【現病歴】 腹痛、嘔吐のため近医受診し、術後の癒着性イレウスと診断された。腹部造影CT検査で回腸にびまん性の壁肥厚と腸間膜浮腫を認めた。T-SPOT陽性であり腸結核の疑いで精査加療目的で当科に紹介、入院となった。</p><p>【入院後経過】 血液検査では白血球= 8700/μL、好酸球= 728/μL、CRP = 7.1mg/dLと炎症反応上昇と好酸球増加を認めた。経肛門ダブルバルーン小腸内視鏡検査にて粘膜浮腫、らせん状潰瘍と管腔の狭小化を認めた。潰瘍部の病理組織学的検査では乾酪壊死を認めず、抗酸菌培養、PCRは陰性であった。回腸粘膜には多い部位で79/HPFの好酸球浸潤を認めた。経管小腸二重造影では回腸中部に10cm強の不整な狭窄を認めた。食事摂取困難であり、腹腔鏡補助下小腸部分切除術を行った。手術標本で乾酪壊死は認めず、Ziehl-Neelsen染色は陰性で、肉芽種や壊死性血管炎の所見も認めなかったが、炎症細胞浸潤が強く全層性に及ぶ部分もあり多い部位で64/HPFの好酸球浸潤を認めた。</p><p>【考察】 当初腸結核と考えられていたがT-SPOT陽性以外の所見が得られなかった。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症も鑑別疾患として挙げられたが、手術標本では厚生労働省の診断基準の主要組織所見が得られなかった。本症例は腹痛症状があり、小腸粘膜に20/HPF以上の好酸球浸潤を認めたことから好酸球性胃腸炎と考えられた。好酸球性胃腸炎による小腸潰瘍形成や小腸狭窄の報告は非常に稀であり、若干の文献的考察を加えて報告する。</p>

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