非ステロイド系抗炎症薬起因性小腸傷害における小麦タンパク:グリアジンの病原性

DOI
  • 谷川 徹也
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 島田 直
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 渡辺 俊雄
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 灘谷 祐二
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 大谷 恒史
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 細見 周平
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 田中 史生
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 鎌田 紀子
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 平良 高一
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 永見 康明
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学
  • 藤原 靖弘
    大阪市立大学大学院 医学研究科消化器内科学

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抄録

<p>【目的】 小麦グルテンの一成分であるグリアジンはセリアック病のみならず、小腸粘膜透過性亢進作用を介して種々の疾患の病態に関与する可能性が示唆されている。今回我々は非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)起因性小腸粘膜傷害におけるグリアジンの病原性を検討した。</p><p>【方法】 グルテンフリー飼料で飼育したマウスを、グリアジン(最大250mg/kg)を経口投与した群(グリアジン群)とvehicle投与群(Ve群)に分け、グリアジンあるいはVe投与後にインドメタシンを経口投与した。粘膜傷害総面積、小腸粘膜への好中球浸潤、TNFα・IL-1β mRNAの発現、粘膜透過性、epidermal growth factor(EGF)受容体シグナルの関与を検討した。</p><p>【結果】 グリアジン群はVe群に比し粘膜傷害総面積および粘膜への好中球浸潤は高度であり、TNFαおよびIL-1βのmRNA発現も高値を示した。グリアジンは粘膜透過性を亢進させた。グリアジンは小腸粘膜におけるEGF受容体のリン酸化レベルを増加させ、EGF受容体チロシンキナーゼ阻害薬(エルロチニブ)はグリアジンによるNSAID起因性小腸傷害の増悪作用を減弱させた。</p><p>【結論】 グリアジンはNSAID起因性小腸粘膜傷害の増悪因子となりうること、その機序としてEGF受容体シグナルを介した小腸粘膜透過性の亢進が関与する可能性が示唆された。</p>

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