腸炎モデルマウスを用いたSlco2a1の役割の検討

DOI
  • 細見 周平
    大阪市立大学大学院医学研究科 消化器内科学
  • 中田 理恵子
    大阪市立大学大学院医学研究科 消化器内科学
  • 奥田 博朗
    大阪市立大学大学院医学研究科 消化器内科学
  • 古瀬 昧澄
    大阪市立大学大学院医学研究科 消化器内科学
  • 西田 裕
    大阪市立大学大学院医学研究科 消化器内科学
  • 鋳谷 成弘
    大阪市立大学大学院医学研究科 消化器内科学
  • 鎌田 紀子
    大阪市立大学大学院医学研究科 消化器内科学
  • 永見 康明
    大阪市立大学大学院医学研究科 消化器内科学
  • 谷川 徹也
    大阪市立大学大学院医学研究科 消化器内科学
  • 渡辺 俊雄
    大阪市立大学大学院医学研究科 消化器内科学
  • 中村 吉伸
    滋賀医科大学医学部附属病院 薬剤部
  • 中西 猛夫
    高崎健康福祉大学 薬学部薬学科
  • 藤原 靖弘
    大阪市立大学大学院医学研究科 消化器内科学

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抄録

<p>【目的・方法】 Slco2a1欠損マウスを用いて、Slco2a1の腸管粘膜傷害における役割を明らかにすることを目的とした。Slco2a1の全身性ノックアウトマウス(Slco2a1-/-マウス)とマクロファージ特異的ノックアウトマウス(Slco2a1ΔMPマウス)・腸管上皮特異的ノックアウトマウス(Slco2a1ΔIECマウス)を作出し、腸管における表現型を解析した。3.5%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)水溶液の7日間自由飲水投与でDSS誘発性大腸炎モデルを作成した。大腸粘膜固有層マクロファージ(MΦ)は、CD11bマイクロビーズを用いて単離した。</p><p>【結果】 Slco2a1-/-マウスで自然発症小腸炎・大腸炎は認めなかったが、DSS誘発性大腸炎はSlco2a1-/-マウスでは増悪した。DSS投与Slco2a1-/-マウスにおいて、腸管組織のマイクロアレイ解析でTnfIl1bなどの炎症性サイトカインや、Ccl2Ccl4などのマクロファージの遊走や活性化に関与するケモカインの遺伝子発現が、Western blotでmature IL-1βとCaspase-1発現の亢進も認めた。大腸粘膜固有層MΦのmRNA発現解析でもDSS投与Slco2a1-/-マウスでIl1bが高値であった。また、Slco2a1ΔIECマウスではDSS誘発性大腸炎の増悪は認めなかったが、Slco2a1ΔMPマウスではSlco2a1-/-マウス同様にDSS誘発性大腸炎の増悪を認めた。Slco2a1-/-マウスで認めたDSS誘発性大腸炎は、インフラマソーム阻害剤投与によって軽減した。</p><p>【結論】 マクロファージのSlco2a1は腸管恒常性維持に重要な因子であることが明らかとなり、その機序として、腸管マクロファージにおけるインフラマソームの活性化が関与している可能性が示唆された。</p>

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