精神科患者救急搬送時の急性心筋梗塞の鑑別における高感度トロポニンIの診断特異性と他の心筋バイオマーカーを含めた診療ガイド作成の試み

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  • Acute myocardial infarction (AMI) specificity in high-sensitivity troponin I in psychiatric emergency: Comparative study using biochemical general-purpose-equipment-compatible biomarkers and preparation of diagnostic guide using data mining

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抄録

<p>東京都立松沢病院は898床(精神科808床)を抱え,救急受診時の検査として高感度トロポニンI(high sensitive troponin I; hs-TnI)を実施している。hs-TnI導入後の陽性率は,過去に当院で算出した急性心筋梗塞(acute myocardial infarction; AMI)の有病率に比べオッズ比で3倍以上高い。そこで,まずhs-TnI値の信頼性の確認を目的に,他の分析装置による測定および異好性抗体阻害薬を用いた非特異的反応について検討したが,特に問題は認められなかった。次にhs-TnI陽性検体25件,血中クレアチンキナーゼ(creatine kinase; CK)活性が1,000 U/Lを超える検体45件および無作為抽出検体30件を用い,hs-TnI,CK-MB蛋白定量(CK-MB mass),ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白等の心筋マーカーのAMI診断特異性を評価した後,血液,生化学のデータ27項目を加え,決定木を用いたAMIの診断ガイドを試作した。hs-TnIは,AMI診断の有無に対しては唯一有意な差を示し,他の因子から独立した心筋マーカーであった。決定木ではhs-TnI陽性時のクロール,hs-TnI濃度,CK-MB mass値が子節点として導出された。これらの抽出因子を組み合わせることでAMI診断精度の向上が示された。しかし,陽性的中率は50%弱と不十分であり,経時的な採血結果観察や心電図等の定性データを加えた診断ガイドラインの必要性が示唆された。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 69 (1), 63-68, 2020-01-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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