大阪湾における植物プランクトンの長期変動と 有毒渦鞭毛藻Alexandrium tamarense の大増殖

  • 山本 圭吾
    地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所水産技術 センター

書誌事項

タイトル別名
  • Long-Term Fluctuations in Phytoplankton and Marked Bloom of the Toxic Dinoflagellate Alexandrium tamarense in Osaka Bay, Eastern Seto Inland Sea, Japan
  • オオサカワン ニ オケル ショクブツ プランクトン ノ チョウキ ヘンドウ ト ユウドクウズ ベンモウ ソウ Alexandrium tamarense ノ ダイ ゾウショク

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抄録

大阪湾における過去40年間の物理,化学環境の長期変動と植物プランクトン群集への影響について概観するとともに,近年大きな問題となってきた春季の麻痺性貝毒原因渦鞭毛藻Alexandrium tamarense の大規模増殖の要因について,同湾におけるモニタリング調査で得られた知見を合わせ考察した.大阪湾では水温,透明度で増加傾向,溶存無機態窒素(DIN),溶存無機態リン(DIP),クロロフィルa 濃度で減少傾向がみられた.優占する植物プランクトンは依然として珪藻類であったが,播磨灘同様,Skeletonema 属主体から他の属へ主体が変化する兆候がみられた.A. tamarense の増殖に影響を与えると考えられる春季の環境においても多くの項目で年間平均と同様の傾向が確認されたが,特にDIN で年間平均より減少の幅が大きかった.さらに,Skeletonama 属の出現割合も春季には大きく減少していた.春季のDIN 平均濃度,Skeletonema 属の平均細胞密度とA. tamarense の年間最高細胞密度との間に有意な負の相関があったことから,春季にこれら環境要因が低下したことが近年のA. tamarense の大規模増殖につながった可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 沿岸海洋研究

    沿岸海洋研究 56 (2), 63-72, 2019

    日本海洋学会 沿岸海洋研究会

被引用文献 (1)*注記

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