福島の森林生態系における放射性セシウムの動態

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タイトル別名
  • Movements and storages of radiocesium in a forest ecosystem in Fukushima
  • フクシマ ノ シンリン セイタイケイ ニ オケル ホウシャセイ セシウム ノ ドウタイ

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抄録

<p> 2011年3月の福島第一原子力発電所の事故では,多量の放射性セシウム (137Cs) が,大面積の森林を含む周辺の地域に飛散した。森林生態系内での137Csの移動・蓄積や生態系からの流出の実態を把握し,それらのプロセスの詳細をあきらかにするために,福島県北部に位置する森林集水域において,集中的なモニタリングを続けてきた。その結果,一年間に渓流を通して森林から流出する137Cs量は,事故直後に沈着したとされる量に対して2オーダー以上少ないことがわかった。その主要な形態は粒子状の浮遊物質であり,粒子状有機物が重要なキャリアであることが示唆された。森林生態系内における137Csの最大のプールは落葉層と表層土壌であり,高木を含む植物相はその部位との間で137Csの循環を生じさせていることが示された。また動物を含む生物群集内の137Csの拡散は,落葉やその破砕物を摂食する動物から始まる食物連鎖を介した移行が,生葉を摂食する動物から始まる移行よりも顕著に表れていた。栄養段階の上昇に伴う137Cs濃度の増加は観察されず,いわゆる生物濃縮は生じていないことが明らかになった。</p>

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