伊賀者・甲賀者考

書誌事項

タイトル別名
  • Consideration of Igamono and Kokamono
  • イガシャ ・ コウガシャコウ

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抄録

戦国時代において、伊賀衆や甲賀衆とよばれた戦闘集団は、伊賀国や近江国甲賀郡の国人・土豪の同名中を中核に、彼らに従属する被官衆と、百姓の傭兵集団たる足軽衆によって構成されていた。足軽衆は、独自に強力な軍事力を発揮し、他国まで出陣して攻城戦をおこなうことさえあった。伊賀衆や甲賀衆は信長に抵抗して惣国一揆や郡中惣による領域支配を維持しようとするが、甲賀衆は天正二年に、伊賀衆は天正九年に敗退して臣従する。豊臣秀吉は、当初彼らの軍事力を活用するが、天正十三年閏八月、畿内近国を制圧した直後に兵農分離策を断行して、兵として他国で仕官するか、農として在国するかの選択を迫った。仕官を求めて他国に出て行った伊賀衆や甲賀衆のなかに、卓越した諜報能力を評価されて服部正成のように幕府に仕えたり、諸藩に召し抱えられる者があった。彼らの実態は足軽クラスの下級武士を束ねた諜報集団であって、それが忍者組織として認知されてゆくことになるのである。

収録刊行物

  • 忍者研究

    忍者研究 2018 (1), 16-27, 2018

    国際忍者学会

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