日本の歯科医療機関における禁煙支援に関する現状と課題

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タイトル別名
  • Current status and issues of smoking cessation efforts in dental clinics in Japan:
  • Current status and issues of smoking cessation efforts in dental clinics in Japan : Tobacco control based on interprofessional collaboration
  • Tobacco control based on interprofessional collaboration
  • 多職種連携に基づくたばこ対策

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抄録

<p>日本の歯科医療機関で行われている禁煙支援の現状を把握し,多職種連携によるたばこ対策を推進するうえでの課題を検討することを目的とした.歯科医師会のホームページ上で禁煙支援を行っていることを公開している歯科医療機関の院長を対象に,禁煙支援に関する質問票調査を,無記名,郵送法で2018年10月から同年11月に実施した. 1,020歯科医療機関への発送に対して返送のあった406施設(回収率40.0%)のうち,有効回答である400施設分を解析対象とした.分析は,基礎集計,連携の有無別にみた二変量解析および多変量解析を行い,有意水準は 5 %未満とした.回答者の69.5%は歯科医師としての就業が30年以上であり,64.8%の施設において就業者数が 5 名以下だった.91.5%が現在の喫煙状況を把握し,69.8%が歯周病等の治療を目的に受診した患者を禁煙支援の対象としていた.1回の診療時,患者 1 名あたり禁煙支援に平均 5 分以上かけている施設が62.0%で,93.5%が喫煙と歯科口腔領域との関連を主眼とした支援をしていた.禁煙支援を実施するうえで問題があると回答した施設が46.3%で,その内容で最も多かったのは「禁煙支援が診療報酬に算定されない」で67.0%を占めた.一方で,禁煙支援に関する学習を特にしていない施設が30.8%であり,禁煙支援の実施に問題があると回答した施設の34.6%が「禁煙支援のスキルが不十分」をあげた.歯科以外と連携をして禁煙支援を実施している施設は11.8%にとどまり,そのうち91.5%が禁煙外来との連携をもち,医師と協働で行っていた.多職種連携に基づく禁煙支援に影響を与える要因は,主な支援内容の「具体的な支援方法」,把握事項の「累積喫煙本数の算出」,対象患者が「禁煙中」だった(p <0.01).禁煙支援を実施している歯科医療機関の院長は就業年数が長く,主に現在の喫煙状況を踏まえ,歯科疾患や歯科口腔領域と喫煙との関連に着目した禁煙支援を,患者 1 名あたり 5 分以上かけて行っていた.歯科以外と連携をして禁煙支援を行っている施設は少なく,今後は禁煙支援に関する技能向上のための修学の促進と,歯科におけるたばこ対策の制度の拡充に向けたエビデンスの構築が必要である.</p>

収録刊行物

  • 保健医療科学

    保健医療科学 69 (1), 73-82, 2020-02-01

    国立保健医療科学院

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