ブドウ‘ルビーロマン’の培養果粒における温度処理が果皮着色に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effects of Temperature on Skin Coloration at Different Developmental Stages of Detached ‘Ruby Roman’ Grape Berries
  • ブドウ'ルビーロマン'ノ バイヨウカリュウ ニ オケル オンド ショリ ガ カヒ チャクショク ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

<p>ブドウ‘ルビーロマン’の果粒を供試し,ベレゾーン後の時期別の温度処理が果皮の着色に及ぼす影響を検討するとともに,果皮におけるABAおよび代謝物含量の測定,アントシアニン生合成に関わる転写調節因子と生合成酵素の遺伝子発現解析を行った.‘ルビーロマン’では,満開後50日の果粒では18~30°Cのいずれの温度でも,満開後60日および満開後70日の果粒では24°C以下,満開後80日の果粒では18°Cでのみ着色が促進された.これらの結果から,‘ルビーロマン’では,18~30°Cの範囲において,満開後60日以降は温度が低いほど着色が促進され,収穫期が近づくにつれて着色により強い低温が求められることが明らかになった.‘ルビーロマン’では18°Cの低温より30°Cの高温では内生ABAの生合成とVlMybA1sの発現が促進された.また,アントシアニン生合成経路のうち,VviF3′5′H2VviFAOMTなどの構造遺伝子,ABAシグナル伝達因子であるVviOST1の発現が成熟前期の果粒において高温より低温で促進されたが,後期(満開後80日)ではアントシアニン蓄積が顕著に増加したにも関わらず処理区間で有意差がなかった.異なる温度条件下における‘ルビーロマン’果粒のアントシアニン蓄積量の相違は,内生ABAとMybA1s発現の量的変化によりもたらされるのではなく,ABAシグナル伝達,アントシアニン生合成の基質や関連酵素の活性あるいは他の要因が関与する可能性が考えられた.</p>

収録刊行物

  • 園芸学研究

    園芸学研究 19 (1), 39-47, 2020

    一般社団法人 園芸学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (27)*注記

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