UDP-グルコースを介するSNAI1 mRNAの分解調節はがん転移を抑制する

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がんの転移は,がんの症状と死亡率を上昇させる主な原因である.その過程は腫瘍細胞が周囲の組織に浸潤して血流に入り,別の転移巣に定着することにより生じる.上皮-間葉転換(epithelial mesenchymal transition: EMT)は上皮性がんが移動特性を獲得して間葉系に浸潤していく,がん転移の初期プロセスである.<br>腫瘍細胞において代謝変化が起きていることは周知の事実である.活発に増殖する腫瘍細胞では,グルコースの取り込み量を高めてワールブルク効果という好気的解糖を活性化し,細胞の増殖や転移を促している.しかし,これらの代謝変化はEMTでも起きているが,その役割はほとんど分かっていなかった.今回Wangらによって,グルコース代謝物であるUDP-glucose(UDP-Glc)がEMTの誘導を阻害し,がん転移を抑えることが明らかにされたので紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Kang H. et al., Int. J. Mol. Sci., 20, 2042(2019).<br>2) Wang X. et al., Nature, 571, 127-131(2019).<br>3) Arnold J. M. et al., Oncogene(2019), DOI: 10.1038/S41388-019-0885-4.

Journal

  • Farumashia

    Farumashia 56 (4), 350-350, 2020

    The Pharmaceutical Society of Japan

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