認知機能低下を契機に発見されたミトコンドリア糖尿病の1例

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  • A Case of Mitochondrial Diabetes Mellitus Diagnosed by Development of Cognitive Decline

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抄録

<p>64歳女性.X-24年巣状糸球体硬化症,X-11年糖尿病の診断と加療を受け,X-4年にはインスリン治療が開始された.X-2年10月頃からは物忘れが激しくなり,血糖コントロール悪化の原因と考えられ,神経内科を受診した.上肢巧緻運動障害と高次脳機能障害の存在を指摘され,X年8月に精査入院した.頭部MRIでは両側大脳皮質病変,大脳・脳幹・小脳の萎縮を,左上腕二頭筋の筋生検でragged red fiberを伴うmyopathyを認め,ミトコンドリア糖尿病と診断された.腎組織を再検討したところ,ミトコンドリア病による腎病変に合致する所見を認めた.姉も同疾患と診断されたが,本症例と同様にミトコンドリアDNAに多重欠損を認めるのみで,既報の遺伝子変異は同定されなかった.認知機能低下が原因と考えられる血糖コントロール悪化を契機に診断されたミトコンドリア糖尿病の症例報告は既報にはなく,文献的考察を加えて報告する.</p>

収録刊行物

  • 糖尿病

    糖尿病 63 (5), 344-349, 2020-05-30

    一般社団法人 日本糖尿病学会

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