紙パ技協誌の新たな発展に期待して

書誌事項

タイトル別名
  • An Essay on Methodology for Innovating “JAPAN TAPPI JOURNAL”
  • 紙パ技協誌の新たな発展に期待して(第1回)紙パルプ技術協会の歴史的発展過程から現状を考える
  • カミパギキョウシ ノ アラタ ナ ハッテン ニ キタイ シテ(ダイ1カイ)カミパルプ ギジュツ キョウカイ ノ レキシテキ ハッテン カテイ カラ ゲンジョウ オ カンガエル
  • Part 1 : An Analysis of the Historical Development of the Japan TAPPI and Current Status
  • 第1回:紙パルプ技術協会の歴史的発展過程から現状を考える

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抄録

<p>2020年代という新たな時代の出発に際し,筆者は『紙パ技協誌』の革新的発展のための個人的見解を求められた。今回はその第1回として戦後1947年に出発した紙パルプ技術協会の成立から現在までの発展過程を戦後史と共に辿り,現在の協会と機関誌としての紙パ技協誌のもつ性格形成の分析を試みた。</p><p>明治6(1873)年に渋澤栄一が創業した抄紙会社(現王子HD)に源流をもつわが国の洋紙産業は,明治・大正・昭和と順調に成長してきたが,太平洋戦争の敗北で戦後の再出発を余儀なくされた。戦後は米国の強い影響を受けながら生産・消費共に高度経済成長と共に伸びてきたが,平成に入り平成20(2008)年をピークに減少に向かい,製紙業界は「紙・板紙のモノつくり産業」から「総合バイオマス産業」への脱皮による構造改革と海外売上高比率の増大により,持続的成長を維持しようと奮闘している。</p><p>紙パルプ技術協会は業界団体であり,同時に文部科学省に認められた学術団体を兼ねる組織で,法人化はしていない。そのため多くの団体の中では特異な存在である。対象分野は紙・板紙が出来るまでの科学技術という“自然科学”に限定されており,次世代への技術の継承が重要な使命のようだ。しかしデジタルトランスフォーメーションなど激動する現代社会の中で<ミクロコスモスとしての「人間の知」の形成に必須な紙>という基本的位置づけを客観的に認識し,より魅力的な雑誌に変貌してゆくには対象を自然科学の領域だけでなく,紙が人間や社会と関わることにより生じる“文化科学”にまで拡げることにより,紙の文化や芸術という新たな地平が拓けてくる可能性があり,紙の科学技術および社会全体の中での位置づけが認識し易くなるのではないだろうか。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 74 (4), 372-374, 2020

    紙パルプ技術協会

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