圧迫部位の違いが骨格筋の伸張性に及ぼす影響

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  • 圧迫部位の違いが骨格筋の伸張性に及ぼす影響 : 下腿三頭筋の筋腱移行部と筋腹部の比較
  • アッパク ブイ ノ チガイ ガ コッカクキン ノ シンチョウセイ ニ オヨボス エイキョウ : カタイ サントウキン ノ キンケンイコウブ ト キン フクブ ノ ヒカク
  • ― 下腿三頭筋の筋腱移行部と筋腹部の比較 ―

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抄録

【目的】現状、あん摩マッサージ指圧が骨格筋へ作用することに対する研究は少なく、その中でも施 術部位による効果の違いについて言及している研究は見当たらない。私たちは、筋の中でもより腱部 に近い筋腱移行部を刺激することは、同筋の他の部位を刺激した場合よりも、筋の伸張性が向上する という仮説を立てた。この仮説をもとに、本研究では、下腿三頭筋の筋腱移行部への圧迫刺激が、同 筋の筋腹部への圧迫刺激と比較して、筋の伸張性が向上するかどうかを明らかにする。<br> 【対象と方法】研究対象は健康成人男女とした。研究デザインはランダム化比較研究デザインとした。 実験は研究対象者32名を乱数表で介入群と無刺激群の2群に割りつけ、介入群の対象者の左右の下 腿三頭筋にそれぞれ筋腹部、筋腱移行部への手根圧迫を行った。評価は、介入前後の足関節の自動・ 他動背屈最大可動域角度、及び、足関節の他動背屈最大可動域角度での伸長痛のVASについて行った。 統計処理は、自動ROMについては一元配置分散分析法を用い、他動ROMと伸張痛のVASについては、 クラスカル・ワーリス検定を用いた。<br> 【結果】筋腹部と筋腱移行部への刺激において、関節可動域の変化、及び下腿三頭筋の伸張痛のVAS は、 統計上の有意な差が認められなかった。しかし、他動ROMと伸張痛のVASについては、筋腱移行部 群の方が筋腹部群に比して変化量は大きいという結果を得た。<br> 【考察・結論】今回の結果にはスタティック・ストレッチングにおける筋弛緩の作用機転とされてい るⅠb抑制が関与しているのではないかと考える。対象者や介入部位、測定項目の変更を行い、再検 討することで、より正確に変化を捉えることができると考える。また、本研究は統計学的な有意差を 求めるだけのものでは無く、臨床的にも筋の伸張性の低下を原因とする足関節の関節可動域制限の治 療という点において有用であると考える。

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