日本各地のブナ集団における葉の形態的可塑性の地理的変異

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タイトル別名
  • Variation of intra-crown leaf plasticity of <i>Fagus crenata</i> across its geographical range in Japan

抄録

<p>樹木は固着性で長寿であり、分布移動および適応速度が遅いため、気候変動に対して個体レベルで可塑的に順化しなければならない。よって気候変動が森林樹木の分布や動態に与える影響を予測するためには、個体の可塑性とその地理的変異を把握する必要がある。本研究では、国内13か所のブナ集団において、葉の形態の個体内変異(ILP: intra-crown leaf plasticity)を測定し、可塑性の指標とした。ILPは太平洋側および西日本の集団で低く、日本海側および北限・標高限界付近の集団で高かった。ILPは気温との相関が高く、とくに気温の変動幅と強い相関を示したことから、北限・標高限界などブナが分布拡大しつつある環境変動の大きい地域では、形態的可塑性が適応的であると考えられる。一方、孤立集団を含む西日本のブナは、環境変動に対する個体レベルの順化能力が低いと考えられ、気候変動による生育環境の変化が個体の順化能力を超えた場合、大量枯死によって集団が消滅する恐れがある。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390003825201581312
  • NII論文ID
    130007880585
  • DOI
    10.11519/jfsc.131.0_231
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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