ヒグマの生息しない島におけるヤマブドウの空間遺伝構造

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タイトル別名
  • Spatial genetic structure of <i>Vitis coignetiae</i> in islands not inbabitated by bears

抄録

<p>植物の種子散布において大型哺乳類は主要なベクターの一つであると考えられているが、多肉果の植物など多くは複数種の哺乳類や鳥類に利用される。複数種の動物に利用されている植物ではある種の散布者が失われると分散能力は低下するのだろうか。本研究では、ヒグマの存否が植物の分散能力に影響するかを推定するため、ヒグマの生息しない島とヒグマ生息地でヤマブドウの空間遺伝構造を比較した。調査はヒグマの生息しない奥尻島、利尻島、とヒグマ生息地の天塩、浦幌で行なった。各地で10km程度の林道・散策路を2〜4本踏査し、道周辺のヤマブドウの葉を採取し、採取地点を記録した。SSRマーカーを用いて各個体の遺伝子型を決定し、空間遺伝構造を地域内・地域間で比較した。各地の個体群で個体間距離が大きくなるほど近交係数は減少していたが、ヒグマ生息地では個体間距離の大きいクラスで有意な正の近交係数が認められた。このことは、ヒグマによる分散かどうかはわからないが、ヒグマ生息地では非生息地よりも長距離の分散が起こっていること示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390566775155400832
  • NII論文ID
    130007881262
  • DOI
    10.11519/jfsc.131.0_792
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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