環状鉄芽球と鉄代謝

  • 藤原 亨
    東北大学大学院医学系研究科 血液免疫病学分野 東北大学病院 検査部

書誌事項

タイトル別名
  • Ring sideroblasts and iron metabolism
  • カンジョウ テツガキュウ ト テツ タイシャ

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抄録

<p>環状鉄芽球は骨髄赤芽球のミトコンドリアにおける鉄の異常蓄積を反映しており,鉄芽球性貧血に特徴的な所見である。鉄芽球性貧血は先天性と後天性に大別される。先天性鉄芽球性貧血は,ミトコンドリアにおけるヘム生合成,鉄硫黄クラスター代謝,およびミトコンドリアにおける蛋白質合成を担う遺伝子群の変異により引き起こされる。一方,後天性鉄芽球性貧血はアルコール常飲や銅欠乏など明らかな原因のある二次性と,骨髄異形成症候群に代表される特発性に大別され,後者においてはRNAスプラシング機構に関わるSF3B1遺伝子の変異を大部分の症例で認める。このように鉄芽球性貧血の病因は多様であるが,環状鉄芽球形成機序に関しては共通の分子機構が存在する可能性が示唆されている。本稿では,鉄芽球性貧血の各病態に関する最新の知見について,環状鉄芽球形成機構も含めて整理させていただきたい。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 61 (7), 770-778, 2020

    一般社団法人 日本血液学会

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