病院前12誘導心電図測定をした症例と今後期待される展望について

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抄録

・はじめに<br> ガイドライン2015において病院前12誘導心電図の推奨が再強調され、救急隊接触から90分以内のPCIを目標とすると明記された。それを踏まえ氷見市救急隊においても平成28年から12誘導心電図を記録した症例がみられるようになった。それらの症例についての報告と今後期待される展望について紹介する。<br> ・症例<br> 症例1:47歳男性階段から転落し意識がないとの指令。接触時、階段にもたれるように座っており、JCS2桁、橈骨動脈弱く触知、明らかな外傷見られずアルコール臭強い。<br> 既往にDMと心疾患、HR40→車内で心電図記録した症例<br> <br> 症例2:87歳女性、急激な腹痛が出現し嘔吐、その後胸痛を訴えぐったりし救急要請。通報段階で指令員がCPAと判断しドクヘリ要請。接触時JCS2桁、橈骨触れず、総頸微弱で冷感著明でショック判断、除細動パッド装着ワイドQRSでST低下がみられ、RP到着までに心電図記録した症例<br> <br> ・考察<br> 症例1では意識障害の原因が他にも挙げられ複合的な病態の可能性も否定はできないが、病院での原因療法までの時間短縮には12誘導記録が有用だったと考えられ、症例2ではドッキング時に医師による心電図評価が可能となることから現場での診断、治療及び病院選定に有用だったと考えられる。<br> <br> ・現状課題と今後期待される展望<br> 富山県においても、ICTシステムの導入により従来の電話による情報伝達より精度の高い情報を現場から送信することで、病院前での大まかな診断の目安となり、治療開始までの時間短縮に繋がり良好な転帰となることが期待される。

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