低周波騒音曝露による平衡感覚への影響

DOI
  • 大神 信孝
    名古屋大学大学院 医学系研究科 環境労働衛生学
  • 橋本 和宜
    名古屋大学大学院 医学系研究科 環境労働衛生学
  • 田崎 啓
    名古屋大学大学院 医学系研究科 環境労働衛生学
  • 加藤 昌志
    名古屋大学大学院 医学系研究科 環境労働衛生学

書誌事項

タイトル別名
  • Influence of exposure to low frequency noise on balance in mice

抄録

<p>【目的】低周波騒音(LFN)は100 ヘルツ(Hz)以下の周波数を持つ騒音と定義され、空調・電気機器・重機等から最大110デシベル(dB)の音量で発生している物理的環境因子である。マウスを対象にした我々の過去の研究により、LFNは平衡感覚に影響する事が分かってきているが、リスク評価に基づいたLFNの標的組織の情報が極めて限られており、予防法は確立されていない。本研究は、LFNをマウスに曝露し、平衡感覚の感覚器である内耳の前庭への影響を調べた。</p><p>【方法】野生型マウスを対象に、100 HzのLFNを70-95 dBの音量で1時間曝露した。行動解析と前庭誘発筋電位(cVEMP)により平衡感覚を評価した。免疫組織染色により内耳の前庭の病理解析を実施した。統計解析はSteel-Dwass検定などを用いp<0.05を有意差ありとした。</p><p>【結果】95 dBのLFNの1時間曝露により平衡感覚の行動解析とcVEMPの成績が有意に低下したが、聴力への影響はなかった。Electron probe microanalysis (EPMA) 解析により、曝露群の前庭の有毛細胞でカルシウムの低下が観察された。免疫組織染色により、前庭の耳石膜のダメージが観察された。最後に、修復分子のHSP70の発現を増強した遺伝子改変マウス(HSP70-Tg)をLFN曝露実験に用いた所、耳石膜ダメージと平衡感覚障害を予防できた。</p><p>【結論】マウスを対象にしたLFN急性曝露の健康リスク評価により、前庭の耳石膜がダメージを受け、前庭の機能障害が誘発される事が分かった。また、その障害はHSP70の発現増強により予防できる可能性が示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390004222614839296
  • NII論文ID
    130007898311
  • DOI
    10.14869/toxpt.47.1.0_p-151
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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