マウス脳内におけるTNF受容体3の発現細胞特定およびメチル水銀による中枢神経障害における役割の解明

DOI
  • 角田 洋平
    東北大学大学院薬学研究科 東北医科薬科大学薬学部環境衛生学
  • 外山 喬士
    東北大学大学院薬学研究科
  • 永沼 章
    東北大学大学院薬学研究科
  • 斎藤 芳郎
    東北大学大学院薬学研究科
  • 黄 基旭
    東北大学大学院薬学研究科 東北医科薬科大学薬学部環境衛生学

書誌事項

タイトル別名
  • Identification of the cells expressing TNF receptor 3 in mouse brain, and its role on methylmercury- induced neuronal damage

抄録

<p>【目的】最近我々は、メチル水銀による細胞死誘導に関わる因子としてTNF受容体3 (TNFR3) を見出した。しかし脳内でのTNFR3の発現や機能について検討した例はなく、メチル水銀による中枢神経障害へのTNFR3の関与は不明である。そこで本研究では、マウス脳内におけるTNFR3発現細胞の特定およびメチル水銀によるTNFR3を介した神経細胞死誘導機構について検討した。</p><p>【結果・考察】マウス主要臓器におけるTNFR3蛋白質量を調べた結果、メチル水銀が多く蓄積する肝臓や腎臓と比較して脳内で高く発現していた。そこで、マウス脳中のTNFR3をin situ hybridizationにより検出した結果、脳全体でTNFR3発現細胞が観察された。さらに脳構成細胞のマーカー蛋白質に対する抗体を用いて免疫染色を行なった結果、TNFR3は神経細胞で発現している可能性が示唆された。また、TNFR3欠損マウスを作出しメチル水銀を経口投与した結果、野生型マウスで認められる運動機能の低下が抑制された。また、同条件下において、メチル水銀による神経病変部位において観察されたアストロサイトおよびミクログリアの増加がTNFR3欠損によって抑制された。次に、マウス神経幹細胞 (C17.2) を用いてメチル水銀によるTNFR3を介した細胞死誘導機構を検討した結果、TNFR3は既知因子を介さずにその下流に細胞死シグナルを伝達することが明らかになった。そこで、メチル水銀処理によってTNFR3との結合レベルが変動する新規蛋白質を免疫沈降法により探索した結果、ribosomal protein SA (RPSA) やheat shock 60kDa protein 1 (HSPD1) 等が同定された。現在、これらの蛋白質とメチル水銀によるTNFR3を介した細胞死誘導との関わりについて検討中である。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390004222614714624
  • NII論文ID
    130007898325
  • DOI
    10.14869/toxpt.47.1.0_p-125
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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