先天奇形症候群原因分子LZTR1によるRASファミリー分解経路の解明
書誌事項
- タイトル別名
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- LZTR1 facilitates polyubiquitination and degradation of RAS-GTPases
抄録
<p>がん遺伝子RASは、発がん時の重要なドライバー因子であると共に生殖細胞系列での変異(全身性)も報告されており、これらは先天奇形症候群RASopathiesを引き起こす。RASopathiesは、RAS/MAPKシグナル活性異常に端を発する難治性疾患群の総称であり、先天性心疾患、骨格異常、易発がん性などの臨床症状を呈するが、根本的な治療法はない。今回我々は、RASopathiesの新規原因分子Leucine zipper-like transcriptional regulator 1 (LZTR1)の機能解析を通して、LZTR1によるRAS分解促進経路を明らかにした。</p><p>LZTR1はユビキチンE3リガーゼ複合体の基質アダプターであるとされていたが、標的基質は同定されていなかった。そこで、LC-MS/MSや免疫沈降法により相互作用分子を探索した結果、RASファミリーが同定された。続いて、LZTR1によるRAS発現量への影響を解析したところ、RASファミリーはLZTR1を介したポリユビキキチン修飾を受けることでプロテアソームでの分解が著しく促進されており、LZTR1欠損時にはRASファミリーの高蓄積とそれに伴う下流シグナルの異常活性化が認められた。LZTR1によるRAS発現量の制御は、古典型RAS(HRAS、NRAS、KRAS)、ならびにMRAS、RIT1、RRAS2の少なくとも6種、ならびにRAS-G12Vがん原変異体やRASopathies原因変異体の多くで確認された。他方、一部のRAS変異体は、LZTR1による分解促進作用を回避しており、その結果下流シグナル経路であるMAPKの異常活性化が引き起こされることも示唆された。RASopathiesで同定されているLZTR1変異は機能喪失型変異であることから、LZTR1-RAS分解経路の破綻がLZTR1 変異依存性RASopathiesの主要因である可能性が本研究により示された。また、これまで知見の少なかったRAS分解経路が明らかになったことで、今後のRAS依存性がん、RASopathies治療薬開発への応用が期待される。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 47.1 (0), P-57E-, 2020
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390004222614908928
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- NII論文ID
- 130007898368
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可