Tsong kha pa’s Madhyamaka Philosophy in the Formative Period

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  • ツォンカパ形成期の中観思想

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<p>ツォンカパがその形成期において,後に彼自身が否定する無念無想の行を認めていたことは,『善説金鬘』や『常啼菩薩譬喩品』などの20代から30代の頃の著作や,彼の伝記の記述から確認される.クンタン・テンペー・ドゥンメは「一般的な見え方」に従ってツォンカパの形成期からそれ以降にかけての思想的変化を認めるが,形成期の思想はツォンカパの真意ではなかったとして教義的に正当化を図ろうとしている.ツォンカパは46歳の著作『道次第大論』において,かつてカマラシーラと対決した禅僧ハシャン(摩訶衍)に帰せられる無念無想の立場を厳しく批判する.その批判は後代のゲルク派の文献にも繰り返し登場する.無念無想の境地を説く修道論はチベット仏教導入期から存在していたが,ツォンカパの同時代および以後においても根強く存在し,ゲルク派にとって無視できない理論であったのであろう.ゲルク派で批判対象とされるその理論が,ケードゥプジェと対立して異端視されたクンル・ギェルツェン・サンポに帰せられたこと(彼自身がそれを強く主張していたかどうかは別として)は必然であったといえるかもしれない.ハシャン,形成期のツォンカパ,クンル・ギェルツェン・サンポの三者が唱えたとされる無念無想の立場は,分析的修習によって乗り越えられるべき思想であるが,より高次の修習を正しく理解するための批判対象として,ゲルク派の修道論の議論に欠かせない存在となる.</p>

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