ウシ分娩時胎盤節におけるインターフェロンシグナル活性化

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  • Interferon signal activation in the placental node during bovine calving

抄録

<p>【目的】分娩牛で発生する胎盤停滞は,子宮修復の遅延や繁殖成績低下の要因となる。また,ホルモン剤による分娩誘起は家畜管理の省力化に重要な技術であるが,高い確率で胎盤停滞が発生する問題がある。本研究では,分娩後の胎子胎盤剥離メカニズムの解明を目的として,自然分娩および誘起分娩直後に採取した胎盤節のトランスクリプトーム解析を行った。さらに,自然分娩時の胎盤節で活性化されたインターフェロン(IFN)シグナルに関連する遺伝子の発現量を解析した。【方法】胎盤節は,肉用牛の自然分娩および誘起分娩直後に採取した。分娩誘起は,PGF2α単独投与(PG群),デキサメサゾンおよびPGF2α投与(DEX群),トリアムシノロンアセトニドおよびベタメタゾンの複合投与(BET群)により行った。胎盤節は,胎子胎盤と母胎盤に分けてRNA-seq解析およびリアルタイムPCRによる遺伝子発現量解析を実施した。【結果】RNA-seqデータのIngenuity pathway analysisでは,自然分娩時の母胎盤において,すべての誘起分娩群に比較してIFNシグナルの活性化が検出された(p<0.00001)。母胎盤におけるIFNシグナル関連遺伝子の発現量解析では,自然分娩はPG群に比較してIFNT2の発現が有意(p<0.05)に高く,IFNAおよびIFNG発現は分娩方法による差がなかった。自然分娩はPG群に比較してIFNAR1およびIFNGR1発現が有意(p<0.01)に高く,すべての誘起分娩群に比較してISG15OAS1MX1およびMX2発現が有意(p<0.01−0.0001)に高かった。また,BET群はPG群に比較してIFNAR2(p<0.001)およびIFNGR1(p<0.05)発現が有意に高かった。以上より,分娩時の胎盤節ではIFNT2がリガンドとなりIFNシグナルが活性化される可能性が示唆された。また,分娩誘起のためのグルココルチコイド投与方法によって胎盤節のIFNシグナル活性が変化する可能性が示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390567172588135808
  • NII論文ID
    130007925811
  • DOI
    10.14882/jrds.113.0_p-73
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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