二次出版:急性期脳梗塞による失語症患者の左弓状束Fractional Anisotropy値低下

  • 小山 哲男
    西宮協立脳神経外科病院リハビリテーション科 兵庫医科大学リハビリテーション医学
  • 道免 和久
    兵庫医科大学リハビリテーション医学

書誌事項

タイトル別名
  • Secondary Publication:Reduced Diffusion Tensor Fractional Anisotropy in the Left Arcuate Fasciculus of Patients with Aphasia Caused by Acute Cerebral Infarct
  • ニジ シュッパン : キュウセイキ ノウコウソク ニ ヨル シツゴショウ カンジャ ノ ヒダリ ユミジョウ ソク Fractional Anisotropyチ テイカ

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抄録

<p>背景:MRI拡散テンソル画像(DTI)は脳内神経線維を評価する新しい画像診断である.われわれは,急性期脳梗塞により失語症を呈した患者を対象にDTI撮像を行い,同年齢層の対照群との比較のもと,失語症の責任病巣を検討した.</p><p>方法:初発脳梗塞後14~21日目の失語症患者においてDTIを撮像した.撮像データよりfractional anisotropy(FA)画像を作成し,tract-based spatial statistics(TBSS)解析を行った.失語症群と対照群において,脳画像の群間比較を行った.さらに,個々の症例のTBSSデータに左右の弓状束を関心領域(ROI)に設定してFA値を抽出した.FA値の左右比について,失語症群と対照群の群間比較を行った.</p><p>結果:解析データベースは失語症群10名と対照群21名であった.脳画像の群間比較では,失語症群において左弓状束FA値が統計的有意に低値であること示された.症例ごとにFA値を抽出したROI解析では,失語症群においてFA値の左/右比が統計的有意に低値であることが示された(中央値[範囲]:失語症群0.955[0.739~1.023].対照群1.006[0.982~1.088];Wilcoxon順位和検定p=0.0001).</p><p>考察:脳梗塞急性期の失語症患者において,左大脳半球の弓状束FA値の低下が示された.急性期患者においては,慢性期で観察される神経的回復が起こっているとは考えにくい.急性期患者を対象とした本研究の知見は,左弓状束が失語症発症に重要な神経束であることを示唆する.</p>

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参考文献 (43)*注記

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