各種レシプロックファイルを用いた湾曲根管拡大形成時の根管壁偏位および作業時間に及ぼす影響

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  • Evaluation of Root Canal Wall Displacement and Working Time in Simulated Curved Root Canals Using Various Reciproc Files

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抄録

<p> 目的 : Recioroc (VDW, Germany, 以下, RC) は高い根管追従性を有し, 反復回転運動により破折抵抗性が向上することから, 1本のファイルのみで根管形成が完了できるニッケルチタン製ロータリーファイルである. 本研究は, RCと, 柔軟性が向上したReciproc Blue (RC Blue) について, グライドパス形成用ReciprocファイルであるR-PILOT (RP) の併用が湾曲根管の拡大形成時の根管壁偏位および作業時間に及ぼす影響を比較検討した.</p><p> 材料と方法 : J字型透明湾曲根管模型ブロックの湾曲面を画像ファイルとしてスキャナー (GT-X970, EPSON) で撮影した後, すべての根管に対して#10 Stainless Steel K-file (MANI, 以下, KF) で穿通を確認した. 根管模型をランダムに5群 : A群 (#15 KF→#25 KF), B群 (RP→R25 RC), C群 (#15 KF→R25 RC), D群 (RP→R25 RC Blue), E群 (#15 KF→R25 RC Blue) に分け, 各25サイズまで拡大形成を行った (各群n=6). 拡大形成後, 根管模型を再度スキャナーで撮影し, 画像処理ソフト (Photoshop CS6, Adobe Systems, USA) を用いて根管形成前の画像と重ね合わせた. 計測箇所は根尖から1mm・2mm・3mm・4mmとし, 内湾側・外湾側それぞれの根管壁偏位量 (拡大形成前後の根管壁の距離) を計測した. また, 各群・各ファイルの作業時間を計測した. 計測結果は, 統計処理ソフト (SPSS Statistics version 25, IBM Japan) を用いて統計学的分析を行った.</p><p> 成績 : A群は, 根尖から1mmの位置における外湾側で他群より根管壁偏位量が大きかった. B群とC群, およびD群とE群を比較して, グライドパス形成にRPを用いた群は, 根尖から1, 2mmの位置における内湾側で, #15 KFを用いた群より根管壁偏位量が小さかった. また, B群とD群, およびC群とE群を比較して, RC Blueを用いた群はRC群より内湾側の根管壁偏位量が小さく, かつ内湾側と外湾側をほぼ均等に切削していた. 全体の作業時間は, A>E>C>B>Dの順に長い時間を要し, 手用ファイル群よりもReciorocファイルを使用した群で拡大形成時間が大幅に短縮された. B~E群において, グライドパス形成に要した時間は#15 KF>RPであり, グライドパス形成後にReciorocファイルを使用した時間はRC>RC Blueであった.</p><p> 結論 : RPとRC Blueの組合せは, 元の根管の湾曲を維持し, 作業時間を短縮した.</p>

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