早発型血栓症の遺伝性素因

  • 大賀 正一
    九州大学大学院医学研究院 成長発達医学分野
  • 江上 直樹
    九州大学大学院医学研究院 成長発達医学分野
  • 石村 匡崇
    九州大学大学院医学研究院 成長発達医学分野
  • 山村 健一郎
    九州大学大学院医学研究院 成長発達医学分野
  • 落合 正行
    九州大学大学院医学研究院 成長発達医学分野
  • 康 東天
    九州大学病院 検査部・臨床検査医学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Diagnosis and management of early-onset thrombophilia/thrombosis: a review
  • 早発型血栓症の遺伝性素因 : 診断と治療管理の課題
  • ソウハツガタ ケッセンショウ ノ イデンセイ ソイン : シンダン ト チリョウ カンリ ノ カダイ
  • —診断と治療管理の課題—

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抄録

<p>血栓性素因の分子疫学的解明が進み,成人では血栓症の治療管理も近年急速に進歩した。一方,成長期の血栓症は新生児と思春期に多く,各々特徴が異なり,診療に関するエビデンスの集積が遅れている。早発型遺伝性血栓症は,電撃性紫斑病,頭蓋内出血・梗塞など壮年例とは異なる発症様式で診断が難しく,重篤な後遺症を生涯残す。多因子病である血栓症の個別治療を行うためには,早発型の胚細胞異常を明らかにする必要がある。遺伝性血栓性素因は民族で異なり,強い素因ほど一般集団の頻度は低い。日本人の成人にはプロテインS多型(K196E)の頻度が高く,小児の血栓症患者にはプロテインC異常が多く見つかる。患者集団の遺伝子型は出生後に高リスクから低リスクへと変化する。「特発性血栓症」が指定難病となり,遺伝子検査も保険収載されたが,個別治療管理法の確立が課題である。本稿では成人までに発症する血栓症の遺伝性素因,治療と予防について概説する。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 61 (9), 1373-1381, 2020

    一般社団法人 日本血液学会

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