舌縁に発生した神経鞘腫の1例

  • 葭葉 清香
    昭和大学歯学部口腔外科学講座顎顔面口腔外科学部門
  • 守谷 崇
    昭和大学歯学部口腔外科学講座口腔腫瘍外科学部門
  • 鈴木 麻衣子
    昭和大学歯学部口腔外科学講座顎顔面口腔外科学部門
  • 八十 篤聡
    昭和大学歯学部口腔外科学講座顎顔面口腔外科学部門
  • 武井 良子
    昭和大学歯学部スペシャルニーズ歯科医学講座口腔リハビリテーション学部門
  • 高橋 浩二
    昭和大学歯学部スペシャルニーズ歯科医学講座口腔リハビリテーション学部門
  • 鎌谷 宇明
    昭和大学歯学部口腔外科学講座顎顔面口腔外科学部門
  • 代田 達夫
    昭和大学歯学部口腔外科学講座顎顔面口腔外科学部門

書誌事項

タイトル別名
  • A CASE OF SCHWANNOMA OF THE TONGUE MARGIN
  • —術前後の舌運動訓練が奏功した1例—

この論文をさがす

抄録

神経鞘腫はSchwann細胞に由来する良性腫瘍で,脳脊髄本幹から末梢神経に至るまで,神経鞘を有する有髄神経分布領域に広く発生する.口腔領域では舌に発生することが多いが,長径が30mm以上を超える報告は少ない.今回われわれは舌縁に発生した比較的大きな神経鞘腫の1例を経験したのでその概要を報告する.患者は48歳の男性で,幼少期より右側舌縁に腫瘤を自覚していたが,症状がなかったため放置していた.治療のため受診した歯科診療所にて,右側舌縁の腫瘤を指摘され,当科を2015年7月に受診した.初診時,右側舌縁に表面粘膜は正常な45×38mm大で弾性硬の腫瘤を認めた.造影MR所見では右側舌縁に,T1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を示す内部不均一な腫瘤を認め,右側舌良性腫瘍と診断した.手術後の舌運動障害を考慮し,術前に舌運動および構音機能の評価を行い,舌運動訓練を開始した.2015年10月に全身麻酔下にて右側舌腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的に,腫瘍細胞の大半は核の柵状配列を示す紡錘形細胞で,細胞が束状に配列するVerocay bodyの形成と細胞分布がまだらで,基質が浮腫状を呈した領域を認めたため,Antoni A,B型の神経鞘腫と診断した.術前後に舌運動訓練を併用することで,舌運動および構音機能ともに術前の機能が維持された.

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ