甲状軟骨に発生した軟骨肉腫の1症例

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タイトル別名
  • A case of chondrosarcoma of the thyroid cartilage

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抄録

喉頭軟骨肉腫は喉頭原発悪性腫瘍の1%以下の頻度で生じる非常に稀な疾患である。今回我々は甲状軟骨原発の軟骨肉腫症例を経験したので文献的考察も加えて報告する。症例は52歳女性,5年前より経過観察されていた前頸部腫瘍が急速に増大傾向を示し,当科に紹介受診した。針生検の結果,軟骨性悪性腫瘍の疑いのもとに甲状軟骨腫瘍切除術,チタンプレートによる喉頭再建術を施行して軟骨肉腫の診断を得た。術後右頸部リンパ節再発を来したため,右頸部郭清術施行後に単純照射を行った。照射後1年8ヶ月で右上咽頭から下咽頭にかけて局所再発が出現した。健側の披裂軟骨,声帯は温存可能と判断し,発声機能温存を目的に咽頭悪性腫瘍切除術,類喉頭全摘出術,腹直筋皮弁再建術を施行した。術後8ヶ月経過し,再発は認めていない。喉頭軟骨肉腫は一般的に予後良好とされており,可能であれば喉頭温存を目指して症例に応じた治療法を選択する必要がある。

収録刊行物

  • 頭頸部癌

    頭頸部癌 46 (4), 390-396, 2020

    日本頭頸部癌学会

参考文献 (13)*注記

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