経済的環境制御手段と万国窮乏化

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タイトル別名
  • Immiserizing Income Transfers Embodied in Incentives Mechanisms for Global Environmental Protection
  • ケイザイテキ カンキョウ セイギョ シュダン ト バンコク キュウボウカ

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抄録

<p>当論文は現在の地球環境問題の対策として各国に汚染物除去の自発的活動を促す排出権売買などの所謂経済的諸手段で暗黙の内に中心的役割を果たす途上国への所得移転に注目する.途上国が私的財消費を地球環境の維持に優先させ,先進国の環境改善努力にフリーライドするのは彼らの低所得からみて,高所得国が環境改善に努力するのと同じく,当然の効用最大化行動である.しかしこの普遍的効用最大化行動を踏まえた場合,所得移転によって一般に予想されているように所得レベルの平準化によって途上国の厚生が必ずしも上昇するわけでなく,むしろ先進国と途上国の双方及び所得移転に関わらない第三国の厚生も低下させかねないことを示す.主たる理由は所得喪失は先進国の汚染物除去努力を減退させそれをカウンターバランスする努力は移転を受けた途上国からは生まれず,所得移転は地球環境を劣化させ,その外部不経済が全ての国々に及ぶからである.当論文はそのメカニズを論理的に示し,万国窮乏化にいたる条件を導く.図による解説も併せて提示する.</p>

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