O-1-G36 重症心身障害児(者)経鼻胃管使用者における胃酸分泌抑制薬によるpHチェッカーへの影響

DOI
  • 井上 道雄
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科
  • 本橋 裕子
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科
  • 竹下 絵里
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科
  • 石山 昭彦
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科
  • 齋藤 貴志
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科
  • 小牧 宏文
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科
  • 中川 栄二
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科
  • 須貝 研司
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科
  • 佐々木 征行
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科

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抄録

はじめに 経鼻胃管を利用する重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))では、骨格変形や嚥下障害等により、適切な胃管留置ならびに胃内に管があることの確認がときに困難である。当院では、管の胃内留置を確認するため、pHチェッカーを用いて逆流物が胃酸と同等のpH5.5以下であることを確認している。一方で、重症児(者)の胃酸分泌抑制薬使用者へのpHチェッカーの有用性を検討した報告は乏しい。 目的 経鼻胃管を使用する重症児(者)において、胃酸分泌抑制薬の内服がpHチェッカーの結果に与える影響について検証する。 対象 当院重症児(者)病棟に入院中で経鼻胃管を利用している17人。 方法 カルテ診療録を調査し、胃管の留置位置が適正であると確認できた例の、注入前と胃管交換時に用いたpHチェッカー5.5 (JMS)の値と内服情報を収集し、その関係について検討した。経鼻胃管内腔の容量が最低1.6mlであるため、胃内容物が1.6ml以下は除外した。 結果 対象者の使用薬剤数は平均7.8剤、16人が胃酸分泌抑制薬(H2受容体拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬)あるいは制酸剤(酸化マグネシウム)を内服していた。46機会の計測を行った。そのうち、胃内容物が1.6ml以下は25機会(全体の54%)であった。残りの21機会分のpH値で検討を行った。21機会中、胃酸分泌抑制薬もしくは制酸薬内服ありの19機会でpH 5.5以下は14機会(74%)だった。 考察 胃残が十分引けない機会が相当数あり、重症心身障害児の胃酸分泌抑制薬・制酸薬内服者で、pHチェッカーで逆流物を胃内容物であると同定できた割合は半数以下であった。胃残が十分量引けない例での内服薬の間接的影響の有無は今回は検討できていない。胃残が十分量引ければ、pHチェッカーは74%の感度で呼吸器分泌物と胃内溶液が鑑別できる。今後、胃酸分泌抑制薬・制酸薬の非内服者における、胃逆流物量、pHチェッカー値のデータが蓄積し、今回のデータと比較を行うことが必要である。

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