O-2-G32 メディカルデイケアによる在宅医療:死亡した重症児11名の検討

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抄録

当院では1999年より重症心身障害児(以下、重症児)の日中一時預かりを実施。重症児の在宅支援を行っている。2003年の支援費制度開始以降は、短期入所(現在は障害者総合支援法の医療型特定短期入所)制度と医療保険制度を組み合わせ、メディカルデイケア(日中一時預かり中の医療による在宅医療)として重症児の在宅医療を試みている。2003年以降、日中一時預かりを利用した138名中、メディカルデイケアとして在宅医療を行ったケースは64名(うち重症児51名)であり、その中で死亡した11名について検討したので報告する。 死亡した年齢は2歳から17歳、平均8.9歳であった。全員が頻回にメディカルデイケアを利用し、死亡時の年間利用回数は最少18回、最大246回、平均106回であった。11名全員が経管栄養、吸引を必要とする要医療的ケア児であり、その中で1名を除き10名が超・準超重症児であった。さらに、呼吸器管理4名、酸素投与3名、気管切開5名、経鼻エアウェイ3名で、11名中10名は吸引・吸入以外の何らかの呼吸器系の高度な医療的ケアを必要としていた。この10名うち、6名は在宅移行後に新たな呼吸器系の高度な医療ケアを導入したケースであった。亡くなった場所は自宅5名、主治医病院7名。死因は突然の呼吸障害7名、その他が4名で、特に、自宅死亡児5名全員が突然の呼吸障害での死亡であった。 小児の在宅医療はまだ未整備であり、死亡時の状況を検討した報告は見られない。今回11例と少数例での検討ではあるが、退院時には経管栄養・吸引程度の医療的ケアで在宅移行出来たのだが、その後、筋緊張の亢進、体幹の変形等により呼吸障害が進行し、新たな呼吸器系の高度医療ケアを導入したケースが多くみられたのが特徴である。在宅死亡原因の6割以上、自宅死亡児では全員が突然の呼吸障害で亡くなっていることは特記すべきことであり、小児在宅医療の抱える大きな問題点とも考えられた。

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