低価格Lidarを用いた簡易3Dスキャナーシステムの構築

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タイトル別名
  • Development of the simplified 3D scanner system using a low-cost Lidar
  • Application for measurement and mapping
  • 測量・マッピングへの応用

抄録

<p>近年、レーザー技術を利用した非接触型の形状測量が様々な分野で利用されるようになってきた。特に、3次元的な形状を計測できる3Dスキャナーは、地物の詳細な形状を簡便かつ高精度で計測することができ、測量分野において利用が進んでいる。またGIS(地理情報システム)などと連携することで、地物の3次元空間マッピングへの応用も期待される。</p><p>一方で、3Dスキャナーを一般的に広く普及していく上で大きな弊害となっている点の一つに、システムの高額な費用負担があげられる。3Dスキャナーシステムを導入する場合、数百〜一千万円以上の費用負担が必要となるため、システムを活用できる機関は、専門の業者や一部の研究機関に限られてしまう。そのため、3Dスキャナーをより幅広く社会普及させるためには、システムの低価格化が必須となる。このような中で、最近、数万円程度で購入可能な低価格Lidarが開発・販売されるようになってきた。これらを3Dスキャナーへ応用することができれば、システムの低価格化が実現できると考えられる。そこで本研究では、低価格Lidarを用いて簡便的な3Dスキャナーシステムの構築を行うとともに、実用例として樹木測量・マッピングへ適用性について検証する。</p><p> 本研究では、情報機器に対する高度な知識を必要としないことを前提とした簡便かつ低価格な3Dスキャナーシステムを構築する。まず地物への距離測量を行うセンサーとして、6〜7万円程度で購入可能なRPLidar A3M1(SLAMTEC)を利用した。RPLidar A3M1は屋外での利用も可能であり、最大25m程度までの計測が可能である。ただし、XY平面での2D計測となるため、三次元での計測を行うためにはLidar機器を360度回転させる必要がある。そこで本研究では簡単に手に入れることができるカメラ撮影用の自動雲台(1万円程度)を利用した。また点群に色を付けるため、全天球カメラRICOH THETA SC(2万円程度)を活用した。さらに本研究ではLidarからのデータを記録し3Dデータを構築ためのWindows用ソフトとして、TG3DMakerを開発した。TG3DMakerは、Lidarからのデータを取得し、PCL(Point Cloud Library)により3Dデータの構築、表示、カラー処理、レジストレーション、データ分析が可能な統合ソフトとなっている。</p><p> 低価格Lidarは業務用の高額3Dスキャナーと比較し、計測範囲や精度などが劣るため、どの程度の実務に利用可能かを検証する必要である。本研究では樹木測量への適用を目的に、大学キャンパス内の樹木(幹径)で精度検証を行った。3Dデータにおける幹径の評価には、非線形マーカート法による円近似を用いた。その結果、幹径が円形に近い樹種については±2cm程度の誤差(RMSE)で測量することができた。3Dデータで抽出した幹径や位置は、平面図へ容易にマッピングすることができるため、今後は本システムとGISとの連携にも期待できる。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390569000755406080
  • NII論文ID
    130008006685
  • DOI
    10.14866/ajg.2021s.0_32
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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