児童生徒とその保護者を対象とした“津波てんでんこ”の促進・阻害要因の検討

DOI Web Site オープンアクセス
  • 金井 昌信
    群馬大学大学院理工学府 広域首都圏防災研究センター
  • 上道 葵
    群馬大学大学院理工学府 環境創生理工学教育プログラム
  • 片田 敏孝
    東京大学大学院情報学環 総合防災情報研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Study of Promoting and Inhibiting factors of “Tsunami-tendenko” Intended for Students and their Parents
  • ジドウ セイト ト ソノ ホゴシャ オ タイショウ ト シタ"ツナミテ ンデ ンコ"ノ ソクシン ・ ソガイ ヨウイン ノ ケントウ

この論文をさがす

抄録

<p>東日本大震災の教訓として、“津波てんでんこ”の重要性が指摘されている。片田(2012)は津波襲来時の釜石市の児童生徒とその保護者の避難実態から、“津波てんでんこ”が実現された要因として、家族間の信頼関係が構築されていたことを指摘している。この実績を参考に、東日本大震災以後、小中学校の防災教育において、津波避難に関する信頼関係の構築を目指して、家族で防災会議を開くことを促している地域もある。しかし、家族での相談が、家族間の信頼関係の構築および“津波てんでんこ”の実現にどの程度影響するのかは明らかにされていない。そこで本研究では、児童生徒とその保護者の関係を対象に、“津波てんでんこ”促進策として、家族間の津波避難に関する相談の実施状況に着目し、その“津波てんでんこ”促進効果を検証することを目的とする。</p><p>分析の結果、家庭で避難方法について相談しておくことが子どもの適切な避難を選択することにつながることが確認された。さらに、子どもが適切な津波避難行動が実行できないかもしれないと保護者が思うと、“津波てんでんこ”が実行される可能性が低くなることが確認された。以上の結果より、家庭での津波避難に関する相談をすることを通じて、子どもは適切な行動をしようと思うようになり、それを保護者が信頼することによって、“津波てんでんこ”が実行される可能性が高まることが確認された。</p>

収録刊行物

  • 災害情報

    災害情報 16 (2), 273-281, 2018

    日本災害情報学会

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ