既存の災害対策の情報提供がリスク認知および準備意図に及ぼす影響:新耐震基準の情報提供を一例として

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タイトル別名
  • The Influences of Information about Societal Measure for Disaster on Individuals' Risk Perception and Preparative Intention
  • キソン ノ サイガイ タイサク ノ ジョウホウ テイキョウ ガ リスク ニンチ オヨビ ジュンビ イト ニ オヨボス エイキョウ : シン タイシン キジュン ノ ジョウホウ テイキョウ オ イチレイ ト シテ

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抄録

<p>本研究は、ある社会的な地震対策が実施されているという情報提供が、地震に関連する各種リスク認知や地震とは無関係のリスク認知、さらに、提示された地震対策とは別側面の地震対策や他の災害対策についての準備意図にどのような影響をもたらすのかを検討するものであった。保険効果や単一行動バイアスなどのモデルは、社会的対策情報の提供によって個人の不安感が低下し、その結果として、リスク認知や災害準備意図が減少すると予想する。しかし一方、Out of sight, out of mindと呼ばれるモデルからは、災害対策実施の情報に触れることで、個人は災害リスクの高さを再認識する機会を得ることになり、リスク認知や準備意図は高まることが予想される。本研究は新耐震基準を材料として実験を実施し、この問題を検討した。分析の結果は後者を支持するものであり、新耐震基準について情報を与えられそれを理解した人は、情報を与えられなかった人に比べて地震関連リスクをより高く認知し、準備意図を高めることが明らかにされた。また、情報提供の影響はあくまで地震関連のリスク認知や準備意図に留まっており、他種のハザードにまで波及することはなかった。以上の知見から、社会的に災害対策が進められているという情報は、個人的な災害準備の促進という観点からも積極的に告知されることが望ましい可能性が示唆された。最後に本研究の制約について考察した。</p>

収録刊行物

  • 災害情報

    災害情報 17 (1), 1-8, 2019

    日本災害情報学会

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