自律神経科学元年の幕開け:今後の動向を考える

DOI
  • 黒岩 義之
    財務省診療所 帝京大学医学部附属溝口病院脳神経内科・脳卒中センター
  • 平井 利明
    帝京大学医学部附属溝口病院脳神経内科・脳卒中センター
  • 横田 俊平
    横浜市立大学大学院医学研究科小児科学
  • 藤野 公裕
    帝京大学医学部附属溝口病院脳神経内科・脳卒中センター
  • 山﨑 敏正
    九州工業大学大学院情報工学研究院生命化学情報工学研究系

書誌事項

タイトル別名
  • The dawn of the first year of autonomic neuroscience: considerations for future trends

この論文をさがす

抄録

<p>自律神経科学はストレス反応の科学と言って過言でない.ストレスには外部環境ストレスと内部環境ストレスがある.生体の細胞膜には環境ストレスを感知するバイオ・センサーがある.ストレス中枢のセキュリテイ・ゲート(脳の窓)は視床下部と脳室周囲器官である.ストレス・シグナルの伝達経路には神経制御系,液性制御系,細胞シグナル伝達系がある.ストレスから生体を守る視床下部・辺縁系の攪乱によって不眠,内臓症状,慢性疲労,記憶学習障害,筋痛,感覚過敏など多彩な症状が起こる(視床下部症候群,脳室周囲器官制御破綻症候群).ストレス反応の制御はテロメア損傷,老化,発癌,フレイルの予防につながる.一方,慢性腎臓病などの内部環境ストレスはテロメアを攻撃して,寿命短縮や発癌を誘発する.ストレスに関して基礎と臨床の両面から総合的にアプローチできるのが自律神経科学である.自律神経科学元年の幕開けとルネッサンスの到来を期待する.</p>

収録刊行物

  • 自律神経

    自律神経 58 (1), 1-9, 2021

    日本自律神経学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ