インプラント周囲炎に罹患した高齢患者に対して多職種連携でアプローチした1症例

DOI
  • 和智 貴紀
    九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座クラウンブリッジ補綴学分野
  • 荻野 洋一郎
    九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座クラウンブリッジ補綴学分野
  • 柏﨑 晴彦
    九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学講座高齢者歯科学・全身管理歯科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Multidisciplinary Team Approach for an Old Patient with Peri-implantitis:A Case Report

抄録

<p> 緒言:高齢患者や全身的既往を有する患者におけるインプラント治療では,再介入する際に,外科的侵襲を加えるのが困難な状況に直面することも多い。今回われわれは,高齢インプラント患者に対して多職種連携にてメインテナンスに取り組んだ1例を経験したので報告する。</p><p> 症例:患者は86歳,女性。2015年にインプラント周囲の腫脹および疼痛を自覚し,当科受診した。既往歴として,再生不良性貧血や悪性リンパ腫などが挙げられる。口腔衛生管理状態は不良であり,左側上顎臼歯部インプラント周囲歯肉には自然出血および排膿を認めた。また,エックス線検査所見において,全顎的に中等度から重度の辺縁骨吸収像を認めた。</p><p> 経過:検査所見からインプラント撤去の必要性も考えられるが,本症例は大がかりな外科処置への制約が存在する。そこで患者,介助者および歯科衛生士と協力して徹底的な口腔衛生管理を行うこととした。全顎的な歯肉炎症の緩解を確認し,担当内科医へ全身状態に関して対診した後に,左上臼歯部の不良肉芽搔爬術を行い,良好な経過を得ている。</p><p> 考察:本症例は,後期高齢者であることに加えて,全身的既往により感染に対して脆弱な状態であり,適切な口腔衛生管理が特に重要になると考えられた。それに対して,多職種が緊密に連携して対応し,少ない侵襲で良好にメインテナンスを行うことができた。</p>

収録刊行物

  • 老年歯科医学

    老年歯科医学 35 (Supplement), 52-54, 2021-03-31

    一般社団法人 日本老年歯科医学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390006275936100992
  • NII論文ID
    130008027443
  • DOI
    10.11259/jsg.35.e52
  • ISSN
    18847323
    09143866
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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