Agent-based simulation for reconstructing social structure by observing collective movements with special reference to single-file movement

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  • 霊長類の動物の隊列観察をどれぐらいすると社会の階層性を推定できるか?数値実験を通じた考察

Abstract

<p>霊長類の社会集団を観察する際に、特定の場所を一列になって通過するような事態(道路を通過したり、森林中の特定の場所を順次通過するような場面)は、時折観察経験される事態である。この隊列的順序には、多くの場合、なんらかの規則性が存在することが多く、社会的な近接な関係性を反映していると推察できる。今回我々は、数値実験を通じて、この隊列的な個体通過順序をどれぐらいの観察回数を重ねることで社会構造を可視化できるかについて検証した。数値実験では、霊長類集団の空間構造が混合正規分布より生成され、移動の際は、個体が逐次移動する際の規則として、最近傍個体が移動するという規則を仮定し、その移動における個体順序の観察を繰り返すことで、混合正規分布のパラメタ推定(クラスタサイズ)がどの程度可能かどうかを確かめた。具体的には、個体間で強い依存関係がなく振る舞う個体(独立した成体などを想定する)と、特定の個体にたいして依存して振る舞う個体(母親に依存する幼体などを想定する)の、混合状態にあると単純仮定し、この際の群の空間配置が混合正規分布に従うとした。最近傍個体が逐次移動するという単純規則については、最初の移動する個体のみランダムに選び出し、その後移動する個体は、常に直前の移動個体の最近傍個体が移動するという単純な規則を仮定した。前者の空間構造については、生体メスが複数存在し、その娘など血縁個体が近接する状況(霊長類の社会集団で多く観察される現象)を仮定しており、移動規則についてはCollective movements(集合的意思決定移動、霊長類の移動規則として近年重要とされる機構)を仮定した。クラスタ推定には、高速な推定手法として知られるLouvain法により実施した。 実験結果は、30回程度の観察で、クラスタ数、すなわち、独立的に振る舞う個体数とその下位集団が、適切に推定できた。また、この点については、Louvain法で採用されている凝集性指標の数学的定義をしらべ、たしかに、一定の条件を満たす時(依存的個体の依存性パラメタが大きいことや、集団サイズが小さすぎないが、大きすぎない一定の範囲にあること)に、観察回数が少なくとも推定力が高い点を、解析的に示すこともできた。30回程度という数は、実際の野外研究などで、観察可能な回数の範囲でよいこと(30回の隊列観察を実施すると推定できる可能性)を示しており、その点から、このような隊列的順序を観察できる環境をつくることで、未知の社会集団の階層構造を推定するのに重要な手法になりえることを示唆した。</p>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390569258152831744
  • NII Article ID
    130008029216
  • DOI
    10.14907/primate.36.0_41_2
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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