刺激性抗がん剤(シクロホスファミド)の血管外漏出に対する罨法の作用に関する実験的研究

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  • Experimental study of the effects of applying a poultice to skin lesions produced by extravasation of irritant drugs(cyclophosphamide)

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抄録

<p> 抗がん剤は血管外漏出時の皮膚組織傷害の程度によって3つに分類されており、そのなかでも刺激性薬剤は血管外漏出時に、放置していても皮膚組織傷害は改善するといわれている。臨床では、血管外漏出時のケアとして罨法を施行することが多い。本研究では刺激性薬剤が血管外に漏出した際の組織変化と、それに対する罨法の作用を明らかにすることを目的としてマウスを用いて実験を行った。刺激性薬剤(シクロホスファミド)の血管外漏出時、肉眼的には発赤や潰瘍などの顕著な病変は認めなかった。組織学的には皮筋層において、血管外漏出後に何の処置も施していない群は1、3日目に皮筋の無構造化、炎症性細胞の集積がみられた。5、7日目には皮筋の再生像がみられた。漏出後冷罨法を行った群でも1、3日目は同様の変化であったが、5日目にも炎症性細胞がみられ、皮筋の再生は認めなかった。漏出後温罨法を行った群では1、3、5日目に皮筋の無構造化がみられたものの、炎症性細胞の集積はみられなかった。また7日目には皮筋の無構造化はみられなかった。以上より、刺激性薬剤が血管外漏出した場合には、肉眼的に変化が確認できない場合であっても、皮下組織において組織傷害が発生していることが明らかになった。また、本実験条件下では刺激性薬剤(シクロホスファミド)の血管外漏出に対するケアとして冷罨法は適切ではなく、温罨法が有効である可能性が示唆された。</p>

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