日本産ヒノキ科樹種の木材組織による同定

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タイトル別名
  • Identification of Japanese species of Cupressaceae from wood structure

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抄録

種の識別の可能性をさぐる目的で日本産ヒノキ科樹種の木材形質の変異を解析した。ヒノキ科の樹種は日本では先史時代から使われている重要な森林資源であり,江戸時代になるとこれらの樹種が大量に運搬され日本中で使われた。ヒノキ科樹種の識別は,このため日本の先史時代と歴史時代の木材利用を解明するには不可欠である。ヒノキ科の木材を種レベルで識別する可能性を明らかにするため,日本産ヒノキ科5 属7 種について分野壁孔と放射組織の数量的な形質の変異を調べた。形質の変異幅は大きく重なったが,分野壁孔の大きさと型,1 分野における数の平均値に注目すると種の識別が可能であることが明らかとなった。放射組織の高さと頻度は,形成層の活動レベルに強く影響されるせいか,種の変異幅がほとんど重なっており,識別には使えないことが明らかとなった。この解析の結果,従来の観察にもとづく識別拠点が有効であることが確かめられたほかに,新たな識別拠点も見いだされた。

収録刊行物

  • 植生史研究

    植生史研究 19 (1-2), 125-132, 2011

    日本植生史学会

被引用文献 (1)*注記

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