ポリビニルピロリドンで分散した白金微粒子を触媒とするギ酸分解に基づく水素生成機構

  • 南 祐輔
    大阪市立大学大学院理学研究科
  • 天尾 豊
    大阪市立大学大学院理学研究科 大阪市立大学人工光合成研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Mechanistic Study of Hydrogen Production Based on the Formate Decomposition with Platinum Nanoparticles Dispersed by Polyvinylpyrrolidone

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抄録

<p>ギ酸は毒性が低く取り扱いが容易なため,水素キャリアとして注目されている。 本論文では,ポリビニルピロリドンによって分散された白金微粒子(Pt-PVP)を触媒としたギ酸分解に基づく選択的水素生成機構について,同位体標識したギ酸からの水素生成に対する速度論的同位体効果,水素生成に対する活性化エネルギーのpH依存性,およびギ酸の脱水に基づく一酸化炭素生成から議論した。同位体標識したギ酸を使用した水素生成に対する速度論的同位体効果の結果から,ギ酸が水素と二酸化炭素とに分解される過程の律速段階は,Pt-PVPに吸着したヒドリド種と溶液中のプロトンからの水素生成であることが示唆された。次に,Pt-PVPを触媒とするギ酸からの水素生成に対する活性化エネルギーのpH依存性を調べた結果,pH 2.5と3.5では差は見られないものの,pH 1.8では活性化エネルギーが低減されることが分かった。一方で,pH 1.8では水素生成量は他のpH領域と比較して著しく低下したことから,Pt-PVPを触媒とするギ酸分解に基づく水素生成は,ギ酸イオン濃度に強く依存することが示唆された。これは,pH 2.5と3.5ではPt-PVPを触媒とする水素生成の律速段階が,白金微粒子上の水素と溶液中のプロトンからの水素生成であるのに対して,pH 1.8ではその段階が白金微粒子へのギ酸イオンの吸着あるいは微粒子上でのギ酸塩のC–H結合開裂であることを示している。さらに,Pt-PVPはギ酸を選択的に水素と二酸化炭素に分解する触媒として作用し,ギ酸の脱水による一酸化炭素生成は進行しないことが分かった。</p>

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