医療とレジリエンス

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書誌事項

タイトル別名
  • Healthcare and Resilience in Pandemic Times
  • イリョウ ト レジリエンス シンコウ カンセンショウ カラ ノ シロン
  • 新興感染症からの試論

抄録

インフラ整備による衣食住環境の改善や抗生物質の普及によって、とりわけ先進国における人間の主要な死因は感染症疾患から非感染症疾患にシフトし、公衆衛生対策も肥満、糖尿病、高血圧などの慢性疾患予防により重点があてられてきた。そうした中、2019 年末に中国武漢市から発生したとされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威をふるった。先進国を中心に世界の死者数は 300 万人を超え(2021年 5 月現在)、PCR 検査の普及からワクチン開発およびその配分の透明性まで、現代医療体制への信頼が世界中で脅かされている。人獣共通感染症である COVID-19 は、ウイルス(一次)感染と病院での細菌(二次)感染との関係性を露わにし、人間を中心に行われてきた医療の非弾力性が問われるきっかけにもなっている。本稿では、国際保健学者の山本太郎のレジリエンス論を借りながら、微生物とヒトとの共生の視点から、レジリエンスを維持する社会-生態系システムとしての医療について論じる。COVID-19 にまつわる2つの事例をふまえ、(1)可塑性、(2)多様性、(3)持続可能性の3つの側面から医療のレジリエンスについて試論を提示する。そして最後の節では、「プラネタリーヘルス」の視点を紹介し、地球と人類の健康を互いに創りあげる方法と可能性を探る。

収録刊行物

  • 未来共創

    未来共創 8 (0), 123-143, 2021

    国立大学法人 大阪大学大学院人間科学研究科附属未来共創センター

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390288624491898624
  • NII論文ID
    130008063367
  • DOI
    10.50829/miraikyoso.8.0_123
  • ISSN
    24358010
  • HANDLE
    11094/83900
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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