社会科学におけるインターネット調査の可能性と課題

• 三輪 哲

  東京大学社会科学研究所

• 石田 賢示

  東京大学社会科学研究所

• 下瀬川 陽

  流通経済大学教育学習支援センター

書誌事項

タイトル別名

• Re-examination of the Possibilities and Challenges of Internet Surveys in the Social Sciences
• シャカイ カガク ニ オケル インターネット チョウサ ノ カノウセイ ト カダイ

抄録

本稿では，社会科学におけるインターネット調査ないしウェブ調査の可能性と課題について考察した．とりわけ，ウェブ調査の意義は何であるか，ウェブ調査のプレゼンスは高まっているのか，ウェブ調査の課題は何であるか，学術研究にウェブ調査データを利用する際の許容条件はいかなるものか，の諸点を焦点として検討をしてきた．その結果，実施されるウェブ調査の数自体は顕著に増加してきているが，他方でいまだ学術研究ではウェブ調査利用の成果物は必ずしも多くはないことが明らかとなった． 理由として考えられるのは，標本の代表性への懸念である．社会学の主要な学術誌に掲載されたウェブ調査データ使用論文をみると，それらほとんどでウェブ調査を用いたことを正当化する補足的記述がみられた． ただし，ウェブ調査はまったく学術利用に適さないわけではない．研究や調査の目的いかんによっては，ウェブ調査の採用が最適であることも考えられる． ウェブ調査によるデータ収集のプロセス全体をしっかりと総調査誤差の枠組みより評価をして，研究目的に即した限定された母集団へと着目することの理論的意味と，それに対しアプローチする方法的妥当性を周到に検討することが，ウェブ調査の利用可能性をひらくだろう．

収録刊行物

• 社会学評論

  社会学評論 71 (1), 29-49, 2020

  日本社会学会

キーワード

• インターネット調査
• 総調査誤差
• アクセスパネル

詳細情報

• CRID: 1390288712312163456
• NII論文ID: 130008065448
• NII書誌ID: AN00109823
• DOI: 10.4057/jsr.71.29
• ISSN: 18842755
• ISSN: 00215414
• NDL書誌ID: 030565538
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I030565538
• Web Site: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsr/71/1/71_29/_pdf
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • NDL
  • Crossref
  • CiNii Articles
  • KAKEN
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可