非加熱除湿β線方式のPM<sub>2.5</sub>時間値測定法の開発および標準法・認証機との関係性

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  • Development of Beta Attenuation PM<sub>2.5</sub> Hourly Monitoring Method Equipped with Unheated Dryer and Its Association with Reference and Equivalent Methods

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抄録

<p>日本では、大気中の微小粒子状物質(PM2.5)の1時間ごとの常時監視は、乾燥状態でフィルターの質量を秤量する標準法(日平均値)との等価性が認められた自動測定機(認証機)を用いて行われている。しかし、1時間値は不自然に大きく変動したり、大きな負値になる等の問題をかかえており、その原因究明や改善が求められている。我々は、仮に標準法で1時間値を測定できた場合に、その値と等価になると思われる非加熱除湿方式の1時間値測定法を開発した。開発機は、市販の非加熱β線吸収方式のPM2.5測定機をベースに、拡散ドライヤー等の非加熱除湿機構を組み込んだものである。除湿方式はドライヤー方式(60分採取、1時間値)、3倍希釈方式(120分採取、2時間値)、事後乾燥方式(40分採取、1時間値)の3種であり、標準法や等価性確認済の自動測定機(対照機)との大気の四季並行測定により、開発機の性能を検証した。開発機は、3種の除湿方式のいずれの場合も、試料空気を乾燥状態にでき、市販の加熱型装置で懸念される、粒子成分の揮発損失は少なく、除湿不足はおきなかった。3種の除湿方式による開発機の測定値は、互いにおおむね一致したが、標準法や対照機による測定値より平均16%程度高かった。これは、標準法では1日採取の間に揮発性成分が損失し、対照機は標準法に合うよう調整されているためと考えられた。ドライヤー方式が1時間値を測定でき、最良と思われるが、3倍希釈方式と事後乾燥方式はサイズやコストの面で有利である。我々の開発機は、PM2.5の1時間値測定の精度検証や向上に貢献し得ると思われる。</p>

収録刊行物

  • 大気環境学会誌

    大気環境学会誌 56 (5), 85-95, 2021-07-28

    公益社団法人 大気環境学会

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