急性期病院における周術期口腔機能管理の現状と有用性

DOI オープンアクセス
  • 葭葉 清香
    昭和大学歯学部口腔外科学講座顎顔面口腔外科学部門 昭和大学横浜市北部病院歯科・歯科口腔外科
  • 伏居 玲香
    昭和大学歯学部口腔外科学講座顎顔面口腔外科学部門 昭和大学横浜市北部病院歯科・歯科口腔外科
  • 糸瀬 昌克
    昭和大学歯学部口腔外科学講座顎顔面口腔外科学部門 昭和大学横浜市北部病院歯科・歯科口腔外科
  • 八十 篤聡
    昭和大学歯学部口腔外科学講座顎顔面口腔外科学部門 昭和大学横浜市北部病院歯科・歯科口腔外科
  • 代田 達夫
    昭和大学歯学部口腔外科学講座顎顔面口腔外科学部門

書誌事項

タイトル別名
  • —術後合併症に対する影響とリスク評価—

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抄録

周術期における口腔環境に由来する全身合併症や,治療による口腔合併症の機序が明らかになってきた一方で,口腔環境を改善することで,周術期の合併症を予防できることが明らかになってきた。昭和大学横浜市北部病院では,周術期医療を安全なものとし,質の高い医療を提供することを目的として2014年9月に周術期管理チームの立ち上げが行われた。当科はその中核メンバーとして周術期における口腔管理に携わっている。今回,当院における周術期口腔機能管理ならびにその有用性について報告する。<br>2014年9月から2018年3月までに周術期口腔機能管理のため歯科受診をした総患者数は4,297人であった。周術期口腔機能管理の有用性を検討するために手術部位感染,肺炎,血流感染の発症数について解析した。周術期口腔機能管理を行った歯科介入群において,歯科介入を行わなかった患者と比較した際に医療関連感染の総数に差は認められなかったが,医療関連感染のうち肺炎の発症が有意に減少していた。術後合併症と関連する高リスク患者の臨床的指標について検索を行ったところ,医療感染発症群において,術前のアルブミン値が有意に低い患者,長時間手術を行った患者が含まれる傾向にあった。また,血液透析患者,ステロイド使用患者の占める割合が高くなっていた。<br>周術期口腔機能管理を導入することによって,手術時の安全性向上や術後合併症に対する予防効果を得られる可能性があることから,周術期医療における病院歯科が果たす役割は大きく,歯科医師は口腔衛生に関する専門的な知識を生かして周術期医療に積極的に貢献すべきであると思われる。<br>■略歴<br>2005年3月 昭和大学歯学部卒業<br>2009年3月 昭和大学大学院歯学研究科終了 博士(歯学)<br>2009年4月 昭和大学歯学部口腔外科学講座 顎顔面口腔外科学部門 院外助教<br>2010年4月 昭和大学歯学部口腔外科学講座 顎顔面口腔外科学部門 助教<br>2010年10月 昭和大学歯学部口腔外科学講座 顎顔面口腔外科学部門 講師<br>資格:<br>公益社団法人日本口腔外科学会 指導医<br>公益社団法人日本口腔外科学会 専門医<br>日本がん治療認定医機構がん治療認定医(歯科口腔外科)<br>国際口腔顎顔面外科専門医(FIBCSOMS)

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