経腟分娩後の水腎症を契機に診断された子宮外に存在した子宮仮性動脈瘤の1例

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タイトル別名
  • A case of uterine pseudoaneurysm occured outside of the uterus that presented with hydronephrosis after spontaneous vaginal delivery
  • ケイチツブンベン ゴ ノ スイジンショウ オ ケイキ ニ シンダン サレタ シキュウ ガイ ニ ソンザイ シタ シキュウ カセイ ドウミャクリュウ ノ 1レイ

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抄録

<p>子宮仮性動脈瘤は帝王切開術など子宮に対する侵襲的操作により発生し,産後出血の原因となることが知られている.今回われわれは,自然経腟分娩後に水腎症を契機に発見された子宮仮性動脈瘤の1例を経験したので報告する.40歳2妊1産,妊娠39週前医で自然経腟分娩となり,経過良好で産後5日目に退院となった.産後8日目,腰背部痛が出現し腎盂腎炎の診断で前医入院,翌日当院へ搬送となった.超音波検査で右水腎症および子宮右外側に内部に無エコー領域を伴う3.1×2.9 cm大の腫瘤性病変を認め,カラードップラーで乱流像を示した.造影CTによるダイナミック撮影で子宮動脈本幹より発生する子宮仮性動脈瘤と診断した.産後13日目に子宮動脈塞栓術(UAE)を行ったが,水腎症は改善を認めなかった.UAE実施から5カ月後に開腹術による膀胱右尿管新吻合術を行った.術後3カ月後の時点で水腎症の改善を確認した.子宮仮性動脈瘤は自然経腟分娩など子宮に対する侵襲的操作が原因とならない場合もあるため,分娩後の診察において子宮に血流を伴う腫瘤性病変を認めた場合は,子宮に対する侵襲操作を行っていなくても本疾患の存在を念頭に置く必要がある.子宮外に発生した子宮仮性動脈瘤は水腎症の原因となりうるため,治療の選択にはUAEのみならず外科的治療も選択肢として考慮する必要がある.〔産婦の進歩73(3):313-320,2021(令和3年8月)</p>

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